地球惑星科学コロキュウム
日時:1月13日(金)17:00-18:30
場所:東大本郷 理学部1号館 839号室
(TV会議システム IP 133.11.228.8)
講演者:渡邉吉康
タイトル:自転軸傾斜角及び大陸配置が炭素循環の機能する系外
地球型水惑星の気候に及ぼす影響
要旨:
近年,観測技術の向上によって,低質量の太陽系外惑星が徐々に
発見されてきており,近い将来,地球のような生命居住可能な惑
星が徐々に発見されてくることが想定される.このような惑星が
地球のような表層環境を持つ可能性があるかどうかを論じるには,
気候学的観点に立って,多様な条件のもとで,水惑星がどのよう
な気候状態を取りうるのかを調べる必要がある.
惑星の自転軸傾斜角は,観測は困難であるものの,理論的には様
々な初期値を取りうるばかりか,大きく時間変動することが知ら
れている.自転軸傾斜角の大きさは,惑星が受け取る日射量の緯
度分布及び季節変化を変えることで,惑星の気候に大きな影響を
及ぼす.一方,惑星環境の長期的な安定性には,地球のように炭
素循環による大気中の二酸化炭素分圧の調節機構がはたらくこと
が重要であると考えられている.炭素循環を支配する風化の量は
地表面温度や大陸面積に強く依存するため,大陸の位置によって
長期的な気候の状態が大きく異なると考えられる.
これまで,惑星の自転軸傾斜角や炭素循環が気候に及ぼす影響に
ついて議論した研究例はいくつかあるものの,気候の安定性を系
統的に調べた研究はない.そこで本研究では,炭素循環の機能す
る水惑星の気候システムの挙動特性が自転軸傾斜角の大きさによ
ってどのような違いを持つのかについて,南北一次元エネルギー
バランスモデルを用いて系統的に検討を行った.
得られた結果は以下のように要約できる.
①緯度方向に一様な大陸配置では,自転軸傾斜角が小さい時は,
季節的に氷が部分的に広がる“季節的部分凍結モード”,一年を通
して氷が部分的に覆う“永久部分凍結モード”が安定に存在するが,
自転軸傾斜角が大きくなると存在しなくなる.また,氷が全く存
在しない”無凍結モード” は,pCO2増大による南北温度勾配の減
少が原因で高軌道長半径側でも安定にも存在できる.
②赤道集中の大陸配置では自転軸傾斜角が小さいときほど寒冷に
なり,逆に両極集中の大陸配置では自転軸傾斜角が大きいときほ
ど寒冷な気候になりうる.遠方の軌道領域ほど無凍結になりやす
いという特徴は全ての大陸配置に共通した特徴である.
今回のコロキュウムでは,現在発表者が行っている数値計算の結
果を紹介し、表題について議論する.



