金星:大きさと密度は地球と似ていますが、環境は非常に過酷
地球の兄弟星

金星は、直径が地球の約90%、質量は約80%と、地球に近い大きさの惑星です。古くから「明けの明星」や「宵の明星」と呼ばれ、古くから親しまれている惑星です。

大きさだけでなく、密度も地球に近いので、内部も似た構造だと考えられていることから、地球と金星は「兄弟星」と呼ばれることもあります。

しかし、地球と比較して金星の環境は非常に過酷で、大気の成分の96%は二酸化炭素で水蒸気は0.1%しかありません。

金星の上空を覆っている厚さ10kmにも及ぶ濃硫酸の雲が、温室効果をもたらしてため地表の温度は500℃近くもあります。地表の気圧も90気圧(地球なら深海900mの状態)もあり、兄弟星とは言うものの人の住むような環境ではありません。

地球の隣に位置する惑星でありながら、正体不明の感が強かった金星ですが、2011年に金星探査衛星(VEX)が金星表面の観測に成功したことで大きな前進が見られました。

金星の表面を覆う岩石は3億~5億年前の火山活動の産物だと考えられています。すなわち金星の火山活動は数億年前に休止したとされてきたのです。ところがVEXによる観測では、宇宙の長い歴史で考えると「最近」ともいえる250万~数百万年前の火山活動の痕跡が発見されたのです。

VEXの観測データと90年代にNASAの探査機マゼランの観測データを比較・分析したところ、金星の地下には現在でもマグマだまりがあり、火山が活動を再開する可能性があることがわかりました。